(原題:アメイジング・バド・パウエル第5集 シーン・チェンジス The Scene Changes / The Amazing Bud Powell, Vol. 5 / Blue Note BLP 4009)
世界で最も耳の肥えたジャズファンの国、日本ではウルサ方の御仁から鼻で笑われることも多いこのレコードだが、鼻で笑う当の御仁ですら実はこの作品でバド・パウエルを知ったり、ジャズピアノに入門した者が多い、という色んな意味でいわくつきの一枚である。
つまり「クレオパトラの夢」とは、褒めるにも貶すにも、パウエルとジャズピアノの歴史、そしてブルーノート・レーベルを語る上で絶対に無視して通り過ぎるわけにはいかない全ジャズファン必聴の一枚という位置づけだ。
さてクレオパトラは絶世の美女。絶世の美女といえばエリザベス・テイラーだ。
今ではすっかり「テイラー」と表記するのが普通になってしまったが、ここJazz・ジャズJazzyBounceではやはり当時風に「エリザベス・テーラー」と書いていきたい。
20世紀フォックス映画、クレオパトラとアントニー(アントニウスでなく、アメリカのハリウッド映画ゆえ、そして魚をおかずに米の飯を食う日本人ならアンソニー、よりもアントニー、だろう。よってここではアントニーと呼びたい)は、総天然色ワイドスクリーンキネマスコープ空前の豪華絢爛超大作!
何と言っても絶世の美男美女、エリザベス・テーラーとリチャード・バートンが演じるクレオパトラとアントニーの姿に魅了され、総勢20万人を超えるローマ帝国エキストラの数に圧倒され、クレオパトラの手練手管に感心したり悪女の見本を心に植えつけられたり、悲しい結末に涙する。
あんぐり口を開けた大シネマを見終わって、アジの開きと白いご飯を食べ、蒲団にくるまって寝る時、日本人は、嗚呼、敗戦国ニッポン・・・としみじみ思うものだった。
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さて、そのクレオパトラの墓が、21世紀になった今、ようやく特定、発掘されることとなった。
クレオパトラは紀元前の人だから、約2200年誰にも気づかれずに眠っていたことになる。
墓で眠っている間に、クレオパトラはどんな夢を見ただろうか?
女王として君臨したからには、後世まで伝説が語り継がれることは想像していたに違いない。とはいえ、20世紀に生まれたアメリカ黒人のジャズという新しい音楽ジャンルで、ピアニストのバド・パウエルに作曲されるとは思わなかったろう。
そして21世紀になって、自分の墓が発掘されることなど夢にも思わなかったろう。
1966年にこの世を去ったバド・パウエルは、63年封切の「エリザベステーラーのクレオパトラ」をおそらく観ていたはずだ。
自分の作曲した「クレオパトラの夢」と、映画で使われたアレックス・ノースの大スペクタクル音楽を比べながら観たのだろうか。
精神疾患に悩まされ続けたパウエルは、普通の人よりも多くの夢を見たに違いない。
モダンジャズという全く新しい音楽の新境地を切り開いたイマジネーション豊かなパウエルのこと。21世紀の未来にクレオパトラの墓が発見されることは、もしかしたら夢で見ていたのかもしれない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090416-00000052-jij-ent
クレオパトラの墓、発見近い?=アレクサンドリアの古代神殿で発掘調査へ
ヤフーニュース・時事通信社

