2008年03月08日

フリージャズの究極は芸術の究極

ジャズが嫌いな人は、楽譜にない音を出すことを徹底的に嫌う。
これは「楽譜ルールの美学」だから、見解の相違で仕方がありません。
楽譜派と即興派で、それぞれお互いの道を極めていきましょう♪

ところがジャズに関心あるけれど、ジャズがよくわからず悩んでいる人。
即興演奏、という意味まではわかるけど、じゃあ実際どうやればいいのか?
クラシックのピアノは習ったけれど、アドリブでジャズピアノはどうしても弾けない。
こういう悩みを持つ人がほとんどだということがわかりました。

アドリブで「ジャズピアノ」は弾けないけど、
メチャクチャで「フリージャズ」なら弾けますよ♪

と明るく冗談で言ってくれる人もたくさんいることがわかりました。

その一方で、筋金入りのジャズの人でさえ、
「それはメチャクチャだろ!ちゃんとジャズをやれ!」
と怒り出す人も多いことがわかりました。


モーツアルトは即興でどんどん演奏して、それを楽譜に書きとめるような形で作曲していきました。

ジョン・ケージは、そこに何か物があることだけで音楽になることを示しました。

ロックの時代になると、舞台で楽器をぶち壊すパフォーマンスが喜ばれました。

モーツアルトの時代、建国されるかされないかぐらいのアメリカはジャズの誕生まであと百年待たなければなりませんでした。

百年後、楽譜は読めないけど楽器の腕なら達者なアメリカ黒人が、自分の耳と感性だけで見よう見まね、自由な即興演奏することで、自然発生的にジャズが生まれていきました。

ジャズはその後、一生懸命楽譜を勉強する音楽に成長していきました。

すでにジャズという音楽の存在をよく知っていたケージは、楽譜が読めなかった黒人が発明した「自由な即興ジャズ」では、まだまだ手ぬるい、と思っていたかもしれません。

舞台でギターをぶち壊して、視覚的にお客さんも自分も興奮させたロックスター達は、あとで自分のライブレコードを聞きなおしても楽器の壊れる過程が音の変化としてうまく成り立っていないことに悩んでいたかもしれません。
yamashitapianoburning.jpgこれらをすべて実現したのが、
山下洋輔のピアノ炎上と言えましょう。

もともと即興のジャズ。
ジャズの即興がさらに究極化されたフリージャズ。
フリージャズの第一人者、山下洋輔。

火がつき、燃え広がる視覚的要素。
燃え広がり方と同様に、だんだん激しくなる音楽。

観客と演奏者、両方の精神的興奮。

徐々に壊れていくピアノが発する不完全な音。
ケージが発明したふしぎな音が出るプリペアードピアノと、ケージが発明した偶然音楽を、さらに推し進めた楽器こそが山下洋輔の発明、燃えゆくピアノです。

そして火勢が強くなるにつれて、何も音が出なくなる
視覚要素と聴覚要素の反比例。
いつ壊れていくかわからない偶然性。
自分も火から逃げなきゃならない偶然性。
これらの音楽的反映。

しかも、燃えるピアノが持つ本当の芸術性は、
隆盛と滅びの美学
この具体的な提示でもあります。

そう、具体音楽、ミュージックコンクレート。
偶然音楽と対立的・補完的に進んだ現代音楽ミュージックコンクレートですが、
火の音、破壊時の物理的な音が加わる山下洋輔も燃えるピアノは、
それさえも含んでいる、美術、音楽、美学哲学、エンターテイメント、すべての結晶かもしれません。




 世界的に活躍するジャズピアニストの山下洋輔さんが8日午後5時から、石川県志賀町の増穂浦海岸で、実際に燃えるピアノを弾く「ピアノ炎上2008」に挑む。雨天時は翌日に実施。

 山下さんは昭和48年にも燃えるピアノを演奏。金沢21世紀美術館で先月、当時の様子を記録した実験映像「ピアノ炎上」の前で演奏した際に触発され、再び挑戦することになった。

 35年前は、消防士のヘルメットをかぶり炎上ピアノを演奏。山下さんは「リハーサルは不可能。自分でも結末の予想がつかない真剣勝負にならざるを得ない」と熱くコメントしている。
産経新聞社03/07 22:41
ジャズピアニストの山下さん、再び「ピアノ炎上」


posted by Jersey Bounce at 05:29| Comment(0) | TrackBack(0) | Jazz独白 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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